寒さ対策を施しながら生家を守り住み継ぐためのリノベーション

「築100年超の
生家を末永く守りたい」
親族も集まる
コミュニティー空間
【北広島町 G様邸】
 広島市内に住んでいるG様。孫が増え、住んでいるマンションは親族が集まるには狭いのが悩みだった。そこで、約2年間空き家になっていた北広島町にあるご主人の生家をリノベーションすることを決意。築100年を超える生家はおじい様が建てた立派な家で、親族が集まれる場にしたいという目的と、「この家を末永く守っていきたい」という思いが相まって、リノベーションに踏み切った。業者は、大手ハウスメーカーも訪ねたが、初回来店時のスタッフがご主人のお母様の実家近くの出身だったことに親近感を覚え、マエダハウジングに依頼した。
 冬は雪深い地域で、外より寒く感じることもあるほど寒く暗い家だったため、「冬も暖かい家にしたい」と寒さ対策を万全に行った。大工は「地域性や風土の特徴を理解した人を」と、隣町在住の職人に依頼。断熱材をしっかり入れ、窓をペアガラスにした上、担当者の提案で薪ストーブも導入。寝室とロフト以外の床は温もりある無垢材とした。その一方で、暗く感じないよう天井を吹き抜けにし、開放感も得られるよう工夫。重厚感のある手持ちの家具や既存の建具を再利用するなどして、空間はご主人好みの大正ロマンテイストにコーディネートした。住み心地が格段に良くなった家には、現在週末のみ暮らしているが、「いずれは終の棲家に」とG様は考えている。
ご主人が生まれ育った築100年超の古民家。おじい様が建てた家を守り、
住み継ごうと寒さ対策を万全にして快適な住まいに。
断熱材とペアガラスで寒さ対策
冬は雪深い寒冷地にあるため、居室の床、壁、天井に断熱材を入れ、窓にはペアガラスを採用することで、厳しい寒さから居住空間を守る対策を施した。
冬はエアコン要らずの薪ストーブ
担当者の提案による薪ストーブは、ショールームで実際に温もりを実感した上で採用。おかげで、冬はエアコンをほとんど使わずとも暖かく過ごせたという。
開放感が増す吹き抜けのリビング
間仕切りの多い間取りと低い天井で暗さと閉塞感があったが、間取り変更と天井を抜いて吹き抜けにすることで、明るく開放感あふれるリビングが誕生した。
味わい深い建具や家具を有効活用
欄間や押し入れの引き戸など趣が感じられる建具や、お母様の嫁入り道具だった収納家具を再利用。大正ロマンテイストで統一された空間になじんでいる。
LDK
薪ストーブの温もりに満ち、庭と田園風景が望める居心地良いLDK。
Before
After
虹梁(こうりょう)と呼ばれる直径約45㎝の太い梁が重厚感たっぷり。床とキッチン腰壁には軟らかさを持つカラマツの無垢材を採用。濃い色の梁や柱とのコントラストが美しい。照明の上には、昔お坊さんに描いてもらったという水墨画を掲示。
窓際でくつろぐご主人。ドイツ製の薪ストーブのおかげで、エアコンを使わなくても暖かさは十分。軒の風情が風景に美しく溶け込み、庭や山の風景も楽しめる。
手持ちの収納家具も置けるよう広く確保したパントリー。階段下の空間も収納スペースとして最大限活用。
既存の建具を生かしつつ、廊下を設けて全体に回遊性を持たせ、リビングからトイレや浴室への移動もスムーズに。
柄入りのアクセントクロスを張った洗面室。洗面化粧台を含め、水回りの設備は全てTOTOでそろえている。
もともと物入れだった位置に新設したトイレ。幅にゆとりを持たせ、天井と床を同色にして空間にアクセントを加えている。
リビング奥にある寝室は布団が敷けるよう一部畳敷きに。壁にはご主人が「大正ロマンっぽい色」とえんじ色のアクセントクロスを採用。
再利用の畳を敷いたロフトスペース。冬は薪ストーブの暖気が上昇して暖かいため、ここが寝室代わりになる。
Before
After
Loft
勾配天井が開放感を増し虹梁が家の歴史を伝える"古くて新しい"終の棲家
吹き抜けの勾配天井にしたことで、リビングの開放感と明るさが増大。見事な虹梁には、100年以上にも渡るおじい様から受け継いだ家の歴史が刻まれている。
天井が高く、広々としたタイル敷きの玄関。「屋内の寒さが外よりも深刻だった以前とは全然違って、今では入った瞬間に快適さを感じます」とG様。
壁にはもともと書院にあった建具、玄関収納の扉には押し入れの引き戸を再利用。新しさの中に、長い歴史の重みと家族の思い出を感じさせてくれる。
Before
After
建築当初は茅葺きの平屋で、その後小屋裏を備えた瓦葺きになった。1階の掃き出し窓を断熱性の高いペアガラスにし、玄関ドアも一新。
Before
After